イタリアでの防犯対策

トレヴィの泉 Fontana di Trevi

被害に遭わないために~イタリアでの防犯対策

イタリアの世界遺産登録数は、2013年現在で49か所。世界ナンバー1の登録数で、遺跡、建造物、美術品などの宝庫で、類まれな美しい国です。しかし残念なことに、スリ、ひったくりなどの犯罪は、日本に比べて多いのが現状です。

日本では、「忘れたお財布が戻ってくることも多い」と、東京オリンピック招致プレゼンでもお話がありましたが、日本は世界で類を見ないほど治安がよい素晴らしい国です。一方、イタリアは、強盗、殺人など、命に係わる凶悪事件はさほど多くありませんが、置き引き、スリ、ひったくり、ボッタクリ、盗難、車が盗まれた!などの被害件数は、日本に比べとても多く、観光客だけでなくイタリア人からも被害の話を多く聞くことがあります。また、日本からの旅行者は、現金を持ち歩いていることで有名で、現地や他の国の旅行客に比べて防犯対策がされておらず、犯罪の標的となりやすく、ヨーロッパ各国の首都、例えばパリ、ローマ、マドリッドなど大都会の警察署には、常に、盗難届を出す日本人で溢れかえっていると、と言われているほどです。

私は、イタリアでは幸運なことにまだスリなどの被害にあったことはありません。(アフリカ某国で、なんと刃物を持った人から強盗被害にあったことはあります!)ここでは、イタリア、フランスでの在住経験や、世界各地への渡航経験で得た教訓より、防犯対策のヒントをお伝えします。日本から、イタリア、その他の国に旅行される際は、いつもより警戒レベルを上げて注意をされ、犯罪を未然に防ぎ、楽しい滞在と送って頂くことを、切に願っています。

 

【出発準備編】財布(現金、クレジットカード)

● 現金の持ち歩きは最小限にとどめてください。イタリア人は、「50ユーロ以上の現金は持ち歩かない」、と話す人が多いです。現金は、盗まれたら二度と戻ってこない、と思っておいて間違いはありまません。

● 海外で利用できるクレジットカードを複数枚、用意する。VISA、MASTERが普及しています。(顔写真つきのカードが安心です。また、サインはできるだけ漢字で登録してください。英文ですと、簡単にまねされてしまいます。) また、多くのクレジットカード加盟店は、クレジットカード利用客に身分証明書の提示を求め、本人確認をすることが多くなっております。

● 現地ATMで、現地通貨を引き出せる邦銀キャッシュカードのサービスを利用する。(シティバンク、新生銀行などのキャッシュカードなど便利です。詳しくは、各金融機関にお尋ねください。)

● カードや現金は、3か所以上に分けて持ち、リスク分散をする。(ホテルの金庫、鍵を閉めたハードタイプのスーツケースの中、身に着けるなど。)

● トラベラースチェックについて尋ねられることが多いですが、イタリアでは、近年、料金の支払いで直接利用できる店舗は非常に少なくなっております。また、イタリア国内のアメックスなど発行会社のオフィスの数は減り、提携金融機関も減っています。銀行で手数料を支払い現地通貨に現金化はできることが多いですが、利用される場合は、発行会社に、どこで利用できるか、現金化できるか、最新情報を確認しておきましょう。

● パスポートやクレジットカードの再発行手続きには、時間がかかります。コピーを用意しておきましょう。観光の際は、コピーを携帯し、原本は不必要に持ち歩かないのが賢明です。

● カバンは、口が閉まるタイプを用意してください。「ファスナー、さらにカバンのフタ」があるタイプがいいでしょう。口が閉まらないカバンや、目が届かないリュックサックは、スリの標的になりやすいです。

● 海外旅行保険に必ず加入して渡航してください。

● クレジットカード会社、保険会社などの緊急連絡先を用意しておきましょう。

【現地編】

● 到着したばかりの空港から、すでに犯人は獲物を狙っています。スーツケース、カバンなどの手荷物や、財布などには、常に意識を払って、カバンから手を放したり、カバンの口は必ず閉まっていることを確認するようにしてください。(*余談ですが、駅の中の階段で、重いスーツケースを運んでいる旅行者を見て手助けを申し出てくれる人が多くいます。これはヨーロッパ人のマナーで、親切心での手助けあり、盗む目的でないことがほとんどです。「階段で荷物を運ぶ手助けをしようとして、日本人に「キャー!」と言われて、傷ついたと。」いうイタリア人に何回があったことがあります。)

● カバンは、イスの背もたれや足元におかないで、前に抱えるようにしてお持ちください。

● ATMは、道路側に設置されたものではなく、できるかぎり銀行内に設置されたATMを利用しましょう。ATMにカードをいれたら吸い込まれて出てこない、という事例もありますので、必ず、 銀行営業時間内に利用すること。後ろに変な人がいないか、また、ATMにスキミングなどの装置のような、変なものが設置されていないか確認する。ATM不 必要に親切に近づいてくる人がいたら逃げる。

● ローマ、ミラノなどの都市では、駅の切符販売機で、親切を装って近づいてきて、スリをはたらくものが常にいます。(特に、ローマテルミニ駅など)不必要に、近づいてくる者は無視してください。しつこい場合は、その場を離れてください。

● ホテルやホームステイ先の扉などは、オートロックになっていることが多いですが、オートロックはあくまで簡易的な鍵です。必ず、内側から鍵をしめましょう。(新しいホテルの最新型カードキーでない場合は、特にご注意ください。)また、留学で、アパートやホームステイをされる際は、鍵のしめ方を家に人にしっかり教えてもらい、何回か一緒に練習してください。鍵のしめ忘れや、オートロックだけでの外出は泥棒に入られる可能性が高く、ご自身だけでなく、家の人や同居人にも被害がおよんでしまうこともあります。

● 旅慣れた方は、レンタカーを利用されたり、長期滞在になれば車を購入されることもあるかもしれません。車の盗難も非常に多いので、車を離れるときは、わずか数分離れる場合でも、窓はすべて締め、鍵をしてください。防犯用補助ロックを購入して利用すると、より安全度が高まります。車の中には、荷物を置いたままで離れないようにしましょう。金目のものがあると思われ、狙われやすくなりますので、トランクにしまいましょう。

● ノートPCをカフェで使ってはいけません。現地の人は、PCは狙われるので外で使うことは避けます。また、「カフェでコーヒー1杯の値段でPCを広げて仕事をするアジア人がいるけれど、マナー違反だよ。」と、イタリア人、フランス人から聞くことがあります。現地のマナーを守るという観点からも、注意する必要があります。

● 人気のスマートフォンは、犯罪者からも人気です。電車、バスやの扉近くで使用している人のスマホのひったくりが増えています。公共交通機関内でのスマホ利用は控えてください。

● ネックレスなどの貴金属、ロレックスなどの高級時計は非常に狙われやすいので、持っていくのはやめた方が賢明です。バイクで、すれ違いで、ネックレスや時計をひったくる事件が発生していますが、バイクにひっぱられて怪我をしたら、時計やアクセサリー以上の被害になってしまって大変です。パーティーなどで、フォーマル等の綺麗な服装をする場合は、現地の人は車移動するのが通常です。タクシーで、Door to doorで移動しましょう。

● 夜の一人歩きは避けましょう。また、「電車、バスなど交通機関は、貧しい人の乗り物で治安が悪いので、利用しない。」と、話すイタリア人も結構います。特に夜は、タクシーを利用しましょう。

● 高級ブランドで買い物をされるようでしたら、タクシーを利用しましょう。日本では高級ブランドは若い学生さんでも買えますが、現地では富裕層のものです。バスや電車で買い物にでかけるのは不釣り合いな光景といえます。一流メゾンでショッピングをされる際は、公共交通機関に乗られるのは避けた方が無難です。

● 物を購入する際は、金額を確認しましょう。(*余談ですが、イタリアのレストランは、値段を提示せずに、水、食前酒の注文をとることが通常で、現地の人も値段を確認せずに注文することが多いですが、思った以上に高いこともあります。日本では無料の水は有料ミネラルウォーター(3~10ユーロ)ですし、お店の格により、食前酒1杯も、1杯5~50ユーロ程度、気軽な発泡酒からシャンパーニュまでと様々です。心配な場合は、金額を事前に必ず確認しましょう。また、食事後、勘定が来たら、請求内容が正しいかどうか、確認しましょう。

● つり銭は、確認しましょう。(ただイタリアの場合は、1ユーロ以下は切り捨てか、切り上げる習慣があります。また、イタリアは、ヨーロッパの中でも、チップの習慣がかなり残っていて、細かいお金は受け取らないことが多いです。

● 海外旅行保険に必ず加入して留学しましょう。盗難、病気、けがなどのトラブルに遭遇したら、至急、保険会社に電話をして、アドバイスと指示をうけましょう。

 

【緊急連絡電話番号】

イタリア国家警察 Polizia(救急車要請も可) 113

イタリア軍警察Carabiniere(救急車要請も可) 112

消防車 Vigile del Fuoco 115

救急車 Ambulanza 118

【緊急時に助けを呼ぶ】

Aiuto!(アイウート!)「助けて!」の意味

Al ladro! (アル ラードゥロ) 「泥棒!」の意味

【外務省のページもご参考に】

外務省 海外安全ホームページ(イタリア)

外務省 在留邦人向け安全対策ページ(イタリア)